インスリン治療の標準化

 

  1. 標準化インスリンスライディングスケール、標準化低血糖処置手順、標準化インスリン希釈法のNDP推奨版、及び 輸液中へのインスリン混注の具体例の提示にあたって

  2. NDPインスリン標準化(pdf)

  3. SSアンケート医師(pdf)

  4. SSアンケート看護師(pdf)

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標準化インスリンスライディングスケール、標準化低血糖処置手順、標準化インスリン希釈法のNDP推奨版、及び 輸液中へのインスリン混注の具体例の提示にあたって

 200310月 NDPインスリン部会

 1.      はじめに

急性期の血糖コントロールのために、インスリンスライディングスケール(以下SS)が使用されることが多い。しかし、教科書にはSSに関する記載は少なく、私達がSSについて学習する機会は殆どないのが現実である。SSは過去のインスリン投与の結果生じた血糖をその場で補正する方法なので原理的には望ましい方法ではないという考え方もある。インスリン不足により高血糖が生じた場合は、責任インスリンに介入をしなければならないということは、確かに理にかなっている。的確に責任インスリン投与量を調節するには、頻繁に患者の血糖と総合的状態を評価し、インスリン投与量を調整しなければならない。しかし現状では、全ての糖尿病患者にこのようなインスリン治療を実施することは困難である。インスリン治療に慣れていないと、責任インスリンの考え方を理解して、適切なインスリン治療法を選択することは難しい。このような点を総合的に鑑みて、SSを使用せざるを得ないというのが大方の医療機関での現状であろう。しかし、SSの使用に関しては、多種類のSSの存在、表記の不統一などに伴う様々な問題があり、重要なエラーの誘発要因となっている。これまでのNDPインスリングループでの討議の中で、医療機関内でのSSの標準化が重要であるが、具体例がないと導入しにくいとの意見が多かったため、標準化SSNDP推奨版を作成し、公開することにした。

2.      NDP推奨案のSS

標準化SSNDP推奨案もSS1つの例である。各医療機関には、それぞれ固有の事情があり、状況に応じてカスタマイズして利用すべきものと考えている。NDP参加の医療機関がすべて同じSSを使用しているわけでもない。またSSの実施方法も、はんこ、シールを使用したり、指示簿に印刷したりと医療機関毎に様々である。一部の医療機関で実際に使用している標準化SSの実例を掲載する。それぞれの医療機関内でSSを標準化することが重要である。そのことにより、SSの指示を出す医師、指示を受ける看護師の作業負担が軽減することが明らかとなっている。標準化SSにより、血糖コントロールが悪化することもないようである。更には、インスリンエラーが減少する可能性も示唆されている。

3.      フィードバックのお願い

尚、標準化SSを採用した場合は、医師、看護師を対象としたアンケート調査票を施行して、その評価を各医療機関で確認することが重要である。NDPで施行しているアンケート調査票を掲載するので、利用し、結果をNDP事務局までフィードバックしていただきたい。

4.      低血糖時の指示(SS運用時)

SSの運用は低血糖時の指示とリンクさせる必要がある。ここに掲載した低血糖指示NDP推奨版は、麻生飯塚病院で標準化した低血糖ミニパスをもとに作成した。標準化SSと同様に、各医療機関がカスタマイズして利用することを想定している。

5.      SS以外のインスリン治療

SS以外のインスリン治療に関しても、標準化すべき点は多いが、インスリン希釈法の標準化が重要と考え、生食で希釈するケースに関してNDP推奨版を掲載した。インスリンの持続注入を行う場合は、原則的にシリンジポンプを使用し、輸液内にインスリンを混注する場合も、輸液ポンプを使用することが望ましい。また、インスリン注入に際しては、インスリン専用シリンジの使用を徹底すべきである。緊急のやむを得ない場合以外は、インスリンを扱う場合、専用シリンジまたは、専用のペン以外は使用してはいけない。インスリンの静脈内投与による重大な医療事故が後を絶たないが、ここで提示されている投与法が遵守されれば、かなり防止できると期待できる。

6.      ブドウ糖含有量に応じたインスリン混注量

また、輸液内に速効型インスリンを混注する場合にどの程度のインスリンを入れるかも、各医師により一定していないことが多い。輸液内のブドウ糖の量も、うろ覚えであったり、いちいち確認することを煩雑に感じることが多々ある。そこで、佐久総合病院と武蔵野赤十字病院で使用している、ブドウ糖含有量に応じたインスリン混注量が簡単にわかる換算表を掲載し、参考に供した。

7.      最後に

ここに提示した標準化例はあくまでも参考例であり、絶対的なものではない。それぞれの医療機関の条件に応じてカスタマイズし、慎重に運用することが重要である。

-付録-

-参考-

NDPアピール 詳細へ    *参考 U-100対応シリンジリスト

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